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月白2017.12.02 Saturday
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『月白』
二の腕の固くありたり酔芙蓉
手の甲の真中の熱さ秋灯
月白のソファ鞄の置かれをり
掻きあげし髪の固さや秋の風
月光に晒してをりし左耳
スカートの裾のほころび牽牛花
左膝の怪我に触れをり鉦叩
「酔芙蓉」
朝に白い花を咲かせ、午後になると次第に紅を帯びる。
「月白」
月が出ようとして、空がほの明るくなる。
「牽牛花」
朝顔の漢名。
牛が入ると漢(おとこ)っぽいなぁと思います。
朝顔は可憐ですが、
いろいろなところに力強く蔓をのばして這い上がったり
びっくりするほど大きな花をパカっと咲かせたり…
男性的だなぁと思います。
「鉦叩」
灌木や垣根、植込みに棲み、秋にチンチンと鐘を叩くようなかすかな澄んだ声で鳴くが、
姿はめったに見られない。
ふいに心臓が早鐘を叩かれたり…
『つきしろ』
にのうでのかたくありたりすいふよう
てのかふのまなかのあつさあきともし
つきしろのそふぁかばんのおかれをり
かきあげしかみのかたさやあきのかぜ
ぐわつくわうにさらしてをりしひだりみみ
すかーとのすそのほころびけんぎうくわ
ひだりひざのけがにふれをりかねたたき
◆巻頭作家 エッセイ
小学校で初めて受けた国語の授業が忘れられない。
父の仕事の関係で米国にいたので、読み書きができずに入学した。
一年生の教科書の一ページ目は『あおいそら しろいくも』で、先生が黒板にチョー クで大きく『あ』と書いて「あ」と言った。
手を伸ばしても届かない大きな青空が 「あおいそら」という五つの形に凝縮されることに衝撃を受けた。
字を書くのはノートなので、ノートの神様がいると思った。
ノートに字を書きながら、ノートの神様と話した。
習う字が増えて字がつながると言葉になった。絵本が読めるようになり、児童書が読め るようになった。私は物語を作る人になる、と小学校四年生の時に思った。
その後そのまま大人になってしまったが、思いは埋火のようにくすぶり続け、仕事をきっかけに俳句に出会った。
炎環2017年12月号
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熱のある我月の射す水飲めり2017.09.07 Thursday
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熱のある我
月の射す水飲めり
グラスは
外の湿気に
たちまち濡れて、
指でぬぐうと
氷が揺れた
ねつのあるわれ
つきのさすみづのめり
グラス越しの水は
光を帯びて
指で触れることはできず、
唇から滑り堕ちた
炎環2017年11月JUGEMテーマ:花の記憶
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月は三日月 月思ふらむ2017.08.27 Sunday
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炎天やいつもの二割くらいの私2017.07.24 Monday
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晴れるやうツツジのドレス選びたり2017.05.30 Tuesday
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さくらいろの包みをひらき晩春を口にふくむ2017.04.17 Monday
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さくらいろの包みをひらき
晩春を口にふくむ
さくらいろのつつみをひらき
ばんしゅんをくちにふくむ
人生は結果ではなく
過程を味わうもの
ということに気づいた
未来に起こるかもしれないことを
考え過ぎて
天秤にかけた後に
Open the cherry blossoms colored packet
Taste late spring
手に取って
包み紙を開けて
口に含んだ飴玉
飴玉をゆっくりと溶かすように
人生を味わいたい
葉桜になっていく桜
咲き始めたパッションピンクのツツジ
小さな若葉がうすみどりの葉を毎朝広げていく
花の季節から新緑の世界へ変わっていく
この変わり目に
カラダを浸すことにしよう
新しい飴玉は
歩き回れるところに
あれば良いのだけれど
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春夕焼答へ待つことやめにけり2017.04.10 Monday
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春夕焼答へ待つことやめにけり
はるゆふやけ
こたへまつこと
やめにけり
Sunset in spring
Stopped to wait for the answer
炎環2017年6月 ◆
春夕焼答え待つことやめにけり
→春夕焼答へ待つことやめにけり との添削
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人生や雪柳咲き並ぶ道2017.04.06 Thursday
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人生や雪柳咲き並ぶ道
今、隣を歩いている人と
人生を共に歩いていけない
ということが分かった
雪柳は
風に乗る
白い龍の尾のように揺れて
甘い香りを放ち、
空は春色に暮れ始めていた
目の前の道は
まっすぐで、
足の裏に
跳ね返る
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虹のやう雪柳咲く頃となり2017.03.18 Saturday
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虹のやう雪柳咲く頃となり
にじのやう
ゆきやなぎさく
ころとなり
気づいたら
雪柳が咲き始めていた。
いつもの通り道の傍ら、
ずっと同じところに生えていた株から
他の植木に埋もれ
目立たないグリーンの葉を伸ばしていた枝から
いつもの通り道へ
弧を描きながら
白い光が
こぼれだすように
去年とは違う花が咲く。
炎環2017年6月
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手紙書き春北風をうづめたる2017.03.13 Monday
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手紙書き春北風をうづめたる
てがみかき
はるきたかぜを
うづめたる
正しい道か分からないけれど
伝えることを選ぶ
伝えることが壁になった
何度も壁を越えてきたが
固くて手が痛い
銀漢2017年6月 星雲集
手紙書く春北風をうづめたる
→手紙書き春北風をうづめたる と添削
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